今日は、憲法記念日。
今年は、現行憲法が施行されて70年目の節目を迎える。
日本国憲法は、近代憲法の中で14番目に成立した憲法だが、日本国憲法より前の13か国の憲法は既に幾度も改正しており、その意味で我が国の憲法は「世界最古の憲法」ともいえる。
さて70年もの間、金科玉条の如く大事にされてきた我が国の憲法だが、時代が移りゆくなかで不適応かつ国民が不利益となるようなことも発生してきている。
その代表例が違憲状態と言われる、いわゆる一票の格差による選挙制度の区割り見直しである。
先日、その見直しの答申が発表となり、衆院の福島4区に西郷村が加わるといった案が示された。
すぐさま西郷村議会は反対の意見書を可決。また、本県4区の会津地方はそれでなくとも福島県の約半分の面積を有しており、十分な選挙活動ができるのかといった疑問も残る。
そもそも、金権政治からの脱却を目的の一つとして、選挙にお金がかかる中選挙区制を廃止し、新たに小選挙区制を導入することで有権者と候補者の距離を近くして、国民の政治参加の意識を高めようとした狙いがあったはず。
昨年行われた参院選では、島根・鳥取の合区でお互いの県から「候補者の顔もわからないし、会ったことも演説を聞いたこともない」といった声も多かった。一票の格差ばかりが取りざたされるが、もはや憲法でいうところの国民が得られる権利の平等はおざなりで良いのだろうか?候補者の政策を聞く機会を奪われた有権者は、何をもって票を投ずればいいのだろうか。
戦後、人口が増加し続ける中で、まさか減少に転じるとは露ほども思わなかった時代に作られた憲法の矛盾がそこにある。
現在、国も県も市町村も人口減少対策を講じているが、それでもなお2040年までの将来予測のなかで厳しい結果が示されている。
さらに、人口減少対策とともに必要な対策に、東京一極集中の是正がある。東京が発展できているのは、人を生み育て人材を輩出する機能を地方が担っているからであり、地方の人口減少対策が国全体の人口減少対策につながる。地方の若者の多くは、仕事を求め都市圏へ向かう。この指向を変えるには、地方にこそ雇用を創出する政策を「当事者意識」で実行できるかどうかだ。
そんな中での地方の定数削減や区割り変更。一票の格差の名のもとに地方の声が届きにくくなりはしないだろうか?
最高裁で一票の格差が違憲状態という判決が出る以上、この問題を解決させるためには憲法改正しか手段がない。
憲法改正は、戦前の軍国主義に戻るということではない。国際社会での役割を担いながら正しく運用でき、時代に合った憲法にして機能を回復させることが本当の民主主義であると私は考える。
憲法記念日の今日、少し立ち止まって憲法を考えてみませんか。